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働き方 朝日新聞

「言うべきことを言わない」企業風土

2022年9月24日(日)朝日新聞
「みずほ信託の立て直し」
(けいざい+)

2021年、相次ぎシステム障害が生じた、みずほ銀行と親会社のみずほFGに対して、金融庁は業務改善命令において、同社の企業風土を異例の表現で批判した。

『言うべきことを言わない』

と。
なんて分かりやすい表現だろう。

改善命令の数ヶ月前に、みずほ信託が作成した資料にも、改善すべき自社の企業風土として
『言うべきことを言わない』
と全く同じ文言があったという。
役員をを含む行員にインタビューをすると
『ミスをしない方が優先』
『言っても変わらない雰囲気』
と仮説を裏付けるような声が続々と出てきたとあった。

この風土を変えていく取り組みについて、上司と部下との理想的なコミュニケーション事例があり、そのひとつが興味深い。
仏教でも登場する三毒追放だったり。

引用
「例えば、『怒らない、愚痴らない、妬まない』と呼びかけた事例の中では、直接暴言を吐かれた人は、処理能力が61%、創造性が58%低下すると言われ、目撃した人も処理能力や創造性が低下すると指摘。
感情的になってしまった場合はその場を離れて深呼吸を進めている。」

言葉の暴力の影響が、そのまま生産性や組織の機能不全を導くというエビデンスが出てきている。これは人間関係全般に言えることであって、家族においても然りだ。
モラルハラスメントでよく聞くのは、「実際に殴られたわけでもないし」と、当事者においてもその影響を軽く見てしまうことがある。だが、実際の影響力はとても大きい。

最近、人間にとって「叱る」ことは、快感を伴うものだと言われている。
叱ることは、多くの場合「自己効力感」や「処罰感情の充足」と呼ばれるようなごほうびがついてくるものだと。
水戸黄門のような勧善懲悪の物語が人気になるのも人々の処罰感情を充足しているからだとも言われる。
人間って何でこうなんだろう…と嫌にもなるが、自分が快楽で感情を誰かにぶつけていないか気をつけておきたい。