2022年12月11日(月)日経MJ
「AI時代は現場がヒーロー」
(神田昌典の未来にモテるマーケティング)
「現場のヒーロー」というサービスを展開する岡山県倉敷市の野田配管工業が紹介されていた。発電所やプラントの配管工事を手がける高い技術力を持つ会社で、その取り組みが興味深かった。
配管業界共通の悩みは、職人が育たないことで、現場での育成が課題のようだ。
そこで同社は、教育型マッチングサービス「現場のヒーロー」を始めた。現場の職人を養成するための教育内容を動画で学べるようにし、職人と発注元をマッチングするプラットフォームを用意。
同社の野田社長は、配管などの寸法を簡単に計算できる配管職人向けアプリも開発。
さらに、現場の職人をカッコ良く見せて、ユーチューブなどのSNSで情報発信をし、配管職人のブランディングまでしているとあった。
神田さんの指摘は、以下のとおり
「いままでマーケティングは、商品を顧客に販売するための効率的な仕組みづくりと考えられてきた。しかし、人の仕事が機械に置き換えられていく中では、商品を売ることより、人間しかできないことを見いだすことが重要だ。」
とあった。
先日投稿した蔦屋書店も、「インターネットにできないこと」を徹底していた。それと共通するところもある。
自社が売っているモノは何かという問いの先に、自社が提供している価値がある。その価値を突き詰めていくことが重要だと改めて感じた。
美容院であれば、髪を切るというサービスで提供している価値は、かっこよさや、その顧客の自己表現だったりするだろう。
提供されたときの顧客の経験も、髪を切ったあとの気持ちの良い時間も、「消費者価値」として顧客の評価を受けることになる。
もちろん高い必要がある。
記事にあった野田配管工業は、「現場のヒーロー」というところにこだわって、様々な取組を行っている。その現場のヒーローという価値が、消費者が求めるものと一致しているのだろう。
森岡毅さんが、「USJを劇的に変えたたった1つの考え方」で以下のように言っていた。
引用
「マーケティングの実践経験を積み重ねていくと、自分が向き合っているビジネスの仕組みが見えるようになっていきます 。そのビジネスが上手くいっている、あるいは上手くいっていない本質的な原因を洞察できるようになっていきます。」
まだ自分の仕事であっても洞察できたことがないが…
現在は、技術だけがあっても足りなくて、マーケティングの視点や取組もあわせて行っていく必要性を感じる。そしていつか、突き詰めた先に、洞察できるようになっているかもしれない。