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日経新聞 裁判例

同性婚訴訟から見る「家族」とは

202212月1日(木)日経新聞
「同性婚制度なし『違憲状態』」

30日の東京地裁判決、同性婚を認める法制度がないことを「違憲状態」と指摘した。
重視したのは、性的少数者(LGBT)など多様性を尊重する意識の高まりだとあった。
前回の大阪判決であまりにがっかりの判決だったため、今回少し安堵。

この裁判は、同性同士の婚姻届が受理されなかったことをもって、全国5地裁に起こされたもの。同種訴訟で3件目の地裁判決だ。
2021年3月の札幌地裁判決は「違憲」が出たが、今年6月の大阪地裁判決は「合憲」とした。

日経新聞には以下のとおり
「現在までに約30の国と地域で法制化された。主要7カ国(G7)で同性婚やそれに準じる法的権利を認めていないのは日本だけで、制度がある国から転勤する場合に支障が出るなどの影響が出ているという。」
と経済的に指摘。

ずっと争っているのは、憲法24条1項。
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」

「両性」は「男女」とは書いていない。
「両性」という言葉から、憲法が同性婚を禁止していると解釈するのは強引ではないかと争ってきた。
が、今回の判決も、24条1項の「婚姻」は異性間を想定したもので、同性婚を認めないことが同項に反するとはいえない、とした。
一方で、同性婚を認める法制度が存在しないことは、個人の尊厳に立脚した法制度の制定を求めた憲法24条2項に違反する状態だと認めた。

パートナー制度や企業の福利厚生の適用など、同性カップルにも認められる制度は増えてきているが、婚姻によって生じる相続権や共同親権などの権利はない。契約、遺言、養子縁組で同じ効果が得られるものでは無く、これは判決でも認定された。

私たちは、生まれたときに、同性を好きになるのか、異性を好きになるのかを選ぶことはできない。
記者会見でとても興味深かったのは、今回の東京地裁判決で、婚姻や家族について踏み込んだところがあるというところだ。
判決では、婚姻生活の目的の一つが、人的結合関係における共同生活の保護にあるとし、婚姻の本質は、真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると、それは同性カップルにも等しく当てはまる個人の人格的生存において重要なものだとした。

また、家族という言葉が多様された。
同性間の人的結合関係においてパートナーと家族になって共同生活を送ることで、家族としての法的保護を受けて社会的公正を受けるための制度がないということは、個人の尊厳との関係で問題がないか、ということを検討しなければいけないと。
その上で、同性間の人的関係を保護するということは、養育されるその子も含めて共同生活の安定に資するし、社会的基盤が強化されることで、異性愛者も含めた社会全体の安定につながると踏み込んだ。

もちろん、結婚の目的に子を産み育てることもあったが、上記の点については、裁判所はアップデートしてるかもしれない〜と希望が持てる内容だ。
婚姻制度自体がどうかという問題はさておき、性的志向によってもらえる権利が違うという所が是正されなくてはならないと感じる。
国会が動くだろうか🙄