2022年6月27日(月)朝日新聞
「『みなし制度』適用、初の判決確定」
住宅建材大手の東リの工場で、仕事を請け負っていた会社の社員だった5人が東リを訴えた事件、訴えが認められ、判決が確定している。
2017年に東リと請負会社の契約が終わった際、業務は他の派遣会社に引き継がれたが、5人は派遣会社に採用されなかった。
偽造請負があったとして、東リと直接の雇用があると主張したもの。
大阪高裁は、(偽造請負は無かったという)一審判決を取り消し、東リが直接5人に指示する一方、請負会社は5人の重労働実態を把握していなかったとして、偽装請負の状態にあったと認定。
直接の雇用関係があるとして未払い賃金の支払いを命じた。
みなし制度が適用された初の判決とあった。
請負であれば、派遣と違い、労働者保護の規制を免れる。
2015年の改正でできた「みなし制度」。
違法な派遣があった場合に、派遣先が派遣労働者に、その労働者の雇用主との労働条件と同じ内容の労働契約を申し込んだとみなす制度。
派遣法、なんとも複雑だ。
そもそも、人材派遣は合法化されているが、その制度自体、倫理的な問題がないとは言えない。すべての派遣がそうとは言えないが、経済合理性の観点から人権侵害がされているのではないかとも感じる。
小泉政権が人材派遣を解禁する以前は、派遣というのはアンダーグラウンドだったと思う。出稼ぎに来た労働者を企業に紹介する一方で、労働者の給与から一部を徴収して稼いでいたのは、もちろん上場企業ではない。
真面目に人材育成をして、労働者保護をしている派遣会社もあるとは思うが。
派遣法を改正して、保護を手厚くしても、そもそもこの派遣制度に未来はあるのか(そこで働く人たちの未来も含めて)、やはり疑問はぬぐえない。