2022年5月27日(金)日経mj
北村森さんの『ヒットの森』というコーナーが始まったようだ。
北村さんの『ヒット商品道』というウェブサイトの記事はどれも面白いので、こちらもオススメ。
https://www.nippon.com/ja/series/c009/
個人的に今年の4月からサイバー大学に入学が決まっていたのだが、体調を壊して断念した。北村さんは同大学でITマーケティングを担当していて、この連載うれしい。
MJの記事では、アピックスインターナショナルの『レトルト亭』が取り上げられた。
お湯を沸かさなくても、レトルトのパウチをそのまま温められる。クラウドファンディングでかなり話題になっていたが、今販売されているらしい。
印象的だったのは、以下のところ。
「もし同社が最初に消費者を集めてグループインタビューをかけたとしても、『レトルト亭』発想のヒントは得られなかったはずです。
消費者というのは自分自身が抱く真の欲求を必ずしも意識できていないからです。
商品が出て初めて『ああ、これがほしかった』とようやく気づく。その意味ではマーケットイン型の開発が万能という訳ではないのですね。」
とても分かりやすい。
デザイン思考とも通ずるところがあるなぁと。デザイン(設計)思考は、既に満足しているものであっても、「でもこういうことはできないよね」というように、全く新しいものを提案することができる(個人的理解です)。
随分前の朝日新聞フロントランナーに、デザイナーの佐藤オオキさんが出たとき、以下のような記載があった。
『例えばコップに何か不満がある?と言われて、いや別になんないですけど、ってなりますよね。
でも、コップにコーヒーを入れてダッシュはできない。もし僕がそんなコップをデザインしたら、「今まで不便な状況を我慢していたんだ」と気づいてもらえます』
と。
そのアイデアは容易ではない。
そのための思考法で、課題発見のノウハウとしても提唱されている。
私が思うに、デザイン思考が日本でとても注目されたのはコロナ前だった。既にこの世の中にある、ほとんどの課題は解決されてしまって、解決すべき課題を探す方が重要であり、それが仕事だと。
だが、コロナ感染爆発が起こると、解決するべき課題も爆発的に増えたという印象だ。
それであまり話題にならなくなったように私は感じたが、デザイン思考が不要になった訳ではないと思う。
マーケットインが万能では無いというところにはやはり、必要な思考では無いだろうか。
私がレトルト亭が良いなと思ったのは、友人の子供が発達障害だったからだ。
その子が、何度もガスの火を消し忘れ(既に高校生)、友人は気が気でない。
仕事が忙しくて、レトルトで食べて欲しいけど、怖くて…とよく言っていた。
そしてこの課題に『レトルト亭』が届くかというと、分からない。
価格がまだやはり高いと感じる。必要な顧客層に届くのか、という点はまた別の問題なのかもしれない。
私は電気ケトルでお湯を沸かして、レトルトもつっこんでいるが、これはNGだろうか…